社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用調査とは、概ね4年ごとのサイクルで実施される、原則として全事業所を対象とした年金事務所による調査をいいます。特に調査に会計検査院の職員が同席する場合は、とりわけ厳しい調査となるようです。なお、前回の調査日は、算定基礎届の際に事前に年金事務所から送られてくる「算定基礎届総括表」の左上部に印刷されていますので、確認できます。
【概ねの調査内容】(1) 社会保険の加入漏れがないか
(2) 資格取得時の申告給与額や資格取得日が正しいか
(3) 月額変更届を正しく提出しているか
(4) 賞与支払届を提出しているか
【調査のポイント】(1) 長時間パートであるのに社会保険に未加入
1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が常用雇用者の4分の3以上であれば、
被保険者となります。
(2) 60歳以上65歳未満の長時間勤務者で社会保険に未加入
60歳からは嘱託社員等として社会保険に未加入とした場合、上記の4分の3要件に該当すると、
(1)と同様に加入を指導されます。この場合、老齢厚生年金を受給していた場合は、在職老齢年金との
差額を返納しなければならなくなりますので要注意です。
(3) 試用期間中であるとして、社会保険に未加入
試用期間中であっても、社会保険の加入は必要です。この場合は、採用時に遡って加入を指導されます。
(4) 外国人であるとして未加入
社会保険の加入は外国人であっても日本人と同様の扱いです。
この場合も、2年に遡って加入を指導されます。
【解説】
2年分の遡及徴収額の一括負担は、会社負担分だけでなく、従業員負担分についても個人負担が大きすぎて対応が困難なことも予想されます。遡及される社会保険料負担をめぐり、会社と従業員間でトラブルになるケースも見受けられるようです。
社会保険料の負担は大きいとはいえ、加入逃れをしていた場合は発覚した後での処理が大変です。遡及徴収額の一括負担のほかに、場合によっては老齢厚生年金の返納や、国民健康保険を使っていた場合の医療費の返納など、会社・従業員双方の後処理が容易ではありません。発覚した後での負担や後処理の煩わしさを考えると、正しく加入しておいた方が得策と思えます。
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